今この記事を読んでいるあなたは、自分は人より努力家だと思いますか? 努力家だけど、もう少し効率よくスキルを修得して、仕事をこなしたい、と思っているかもしれません。または、がんばりたいのにどうしても休んでしまう、気が散ってしまう……そんな悩みをかかえている人もいると思います。
そんなあなたに便利なITツールやRPAの使い方を紹介している当ブログですが、肝心の人間ががんばる方法ももちろん、考えて行きます。
今回紹介するのは、ポモドーロテクニックです。なんだ、知ってるよ、という方もちょっと待ってください。現代は、ポモドーロテクニックを有効に使うには、罠が多い時代です。その対応・真の力を発揮する方法も紹介しています。
勉強も仕事も、ポモドーロテクニックで効率的に!
この記事で分かること
- 集中力を維持する基本的テクニックのポモドーロテクニック
- ポモドーロテクニックをもっと有効に実行する方法
- PC仕事でポモドーロテクニックをするときの注意点
この記事が役にたつ人
- 勉強でも仕事でもいいからもっと集中したい人
- ポモドーロテクニックを試してみたけど、結局そんなに集中できなかったよ、という人
- 集中力が高い状態での作業がどんなものか体験してみたい人
この記事を書いた人
- 難易度の高い中小企業診断士試験をほぼ独学の状態で合格
- プログラミングの基本を中学で学習した後、C言語の基本だけを学校で学び、その後、HTML, Perl, PHP, JavaScript, Javaなどを独学し、Webサイトの立ち上げや業務用Webシステムを開発
- 最近ではnode.js と Firebaseを使い、単独でやはり業務システムを開発
- その他Webマーケティングなども並行して担当
- ここ最近のプレイ時間No.1のゲームはフィットボクシング2.
ポモドーロテクニックの基本
ポモドーロテクニックの基本は簡単です。
- 20~25分ほどのタイマーをセットして、スタートする
- その時間、やるべき作業に集中する。
- タイマーが鳴ったら、今度は5分セットして、スタートする
- その時間、絶対に休憩する。
- 1に戻る(ここまでを1ポモドーロという)。
- 2~4ポモドーロ行ったら、20分ほどの長い休憩を摂る。
というのが、ポモドーロテクニックの概要です。補足として、1ポモドーロの間に行うタスクは1つに限定しなくてはならないことです。人間は基本的にマルチタスクに向いていないとされるので、きまった期間、絶対にその作業や勉強に集中するというのが、まずポモドーロテクニックの本質と言えます(「今、ここ」に重きを置く禅のこころとも通じますね)。
それから、作業の途中でタイマーが鳴ってしまったら、後少しで終わる場合でもかならずやっていることを中断して休憩をとらなくてはいけない、とされています。
また、電話などで強制的に中断されてしまったらそのポモドーロは終わりで、次のポモドーロから開始しなければならない、というのも重要なルールです。
ポモドーロテクニックの基本的な効用
大きく分けて、みっつの効用があります。
ひとつめは、人間の限りある集中力をタイマーで区切ることで有効に活用すること。これは、疲れているのにだらだら作業を続けてしまい、効率を落とすことを避ける効果があります。また、人間の行動にはパーキンソンの法則という有名な法則があり、時間などの資源があれば、あるだけ使ってしまうとされています。時間を区切ることで、時間を際限なく使用してしまうことを防ぎます。
ふたつめは、いわゆる「やる気」スイッチを入れること。とにかく開始することで作業興奮を引き起こし、やる気がなくてもやる気にさせます。これはひとつめの逆で、何かを始めたのに、いまいち集中できないという状態を防止する働きがあります。
みっつめは、終わりそうだったのに、強制的に中断されてしまうことにより、終わらせたくなる心理的効果(ツァイガルニク効果)を利用して、休憩後に再開の意欲を維持する効果です。
基本だけではうまくいかないポモドーロテクニック
ポモドーロテクニックの提唱者は、作家のフランチェスコ・シリロです。1980年代に考案され、2009年に著書で紹介されたのが広く知られるようになった始まりのようですね(出典:Wikipedia)。
考案が古いからなのか、あるいはとにかくやってみることで絶大な効果が得られるからか、いまの私たちからすると、「こういうとき、どうするの?」とか、「これはこういうことじゃない?」という解釈も可能です。それを踏まえて、もう少し細かく、この伝統的なテクニックを見て行きましょう。
集中のためのルーティーンとセットで
タイマーをセットするという行為を、そもそも、作業や勉強を開始するための、やる気スイッチを入れるルーティーンとします。「それって当たり前じゃないの?」と思うかもしれません。
ですので、筆者の経験をすこしお話したいと思います。
筆者にとって、はじめてポモドーロ・テクニックを利用した際は、筆者がデザインやマーケティングを学びつつ、仕事もこなしていたときでした。恐らく、何かの紹介で見たのですが、そのときは今ほど便利なアプリもなく、自分で毎回タイマーをセットしていました。面倒なので、スマホとガラケーがタイマーをそれぞれ25分と5分にセットして行っていました。
そんな修羅場を乗り越えた後は、それほどポモドーロテクニックに頼ることも多くありませんでした。会議が多く作業時間が充分に確保出来ない際に、1日に3ポモドーロくらいする程度でした。
ただ、中小企業診断士試験の勉強をはじめると、いよいよ残業にも頼れないのでポモドーロテクニックを利用する機会が増えました。そうすると、なんだか以前より効果が低いように思いました。具体的には、最初の1, 2ポモドーロはともかく、後半は大した効果がないように思えたのです。
単に疲れたのか、年なのか……と思いましたが、もっとも大きな違いはそこではなく、「アプリ」を使っていたことでした。
ポモドーロテクニック用のアプリは非常に便利です。作業時間と休憩時間を自動で区別して継続してくれますし、長時間の休みも自動で設定してくれます。
しかし、その弊害として、最初の1回以外、「これから始めるぞ」というタイマー操作をしなくなってしまっていたのです。とくに自宅にいるときは、スマートスピーカーに話しかけるだけでポモドーロがスタートしていましたからね。
ですので、筆者としては、毎ポモドーロごとにちゃんと時間をセットしてからスタートすることをおすすめします。
発案者のシリロ氏によると、トマトの形をしたキッチンタイマーを使ったからポモドーロ(トマト)テクニックだそうなので、ベストなのはそういったアナログのツールでしょう。
さすがに、筆者はそこまでできないのと、出先で仕事をすることも多いので、スマートフォンやスマートウォッチのタイマーを使いますが、専用のアプリではなく、毎回セットし直す純粋なタイマーアプリを使用するようにしています。ただ、この面倒な時間をセットする作業を行うことで、アプリを使っているときに感じた効果の低下は軽減されたように思います。
やはり、ルーティーンの効果も偉大ですね。
邪魔しないで(DND)モードはどんどん使おう
1980年代当時、また2009年当時と比較して、世の中に通知はあふれています。日本における、個人ユースのメッセンジャーアプリの代名詞であるLINEの初版が2011年とのことなので、それ以前からSkype(MSN Messenger), IRC, ICQなどを利用してきた一部の人間以外からすると、一日に受け取るプッシュ通知の数は数十から数百も増えているでしょう。
これらは、言うまでもないことですがポモドーロテクニックの基本である、「ひとつのタスクに集中する」ことの妨げになります。数年前までは、これらの通知がモダンであるともてはやされたこともありますが、ストレスや、集中を妨げるもとであるとの認識も広がってきました。
そのため、スマートフォンだけでなく、PCのOSにも通知を制限するモードが追加されています。
Windows 10の場合、
タスクバー右下の通知ボタンから、集中モードをクリックすることで、アプリケーションによる通知を個別に管理するのではなく、一元的にオン・オフできるようになりました。
もちろん、iOS/Android OSにも同等の機能がありますので、ポモドーロ・テクニックを活用して生産的な活動を行う際は是非設定しておくようにしましょう。
ただ、やはりこれらの通知のせいで1つのタスクに集中するということが難しくなっているのは事実です。とくに日本においては、「通知があれば即対応すべし」という圧力が強い環境も多いことは明らかなので、周囲への啓蒙も重要です。
また、スマートウォッチを使っている方は、スマホと連動して非通知になるかどうか、確認しておきましょう。単に着信をミュートにするだけだと、スマートウォッチ側の通知がなってしまう場合が多いので、そういう場合にはスマートウォッチも集中モードにしましょう(それか、外してもいいかもしれません)
見たくないものは仮想デスクトップで隠す(可能であればその他のものも)
ポモドーロ中はできるだけ、他のものに気をとられないようにすることが重要です。そのために、前項の通り、スマホだけでなくPCについても通知を切る「集中モード」などを活用します。
しかし、それだけで充分でしょうか? そうではありません。開きっぱなしにしていたメーラーにメールが入っているのを見てしまったり、返事を後のポモドーロでまとめてやろうとしていたのに、ついつい気が重い返信のことを考えてしまうことはよくあります。
また、開きっぱなしにしていたブラウザやアプリなどを、うっかりAlt+Tabで前面に出してしまうこともあります。それを無視できたとしても、そもそも邪魔です(かといって毎回全部閉じるのも面倒なのです)。
そこで、仮想デスクトップを使って、ポモドーロテクニック用のデスクトップを用意し、ポモドーロサイクルの間は、決して他の仮想デスクトップを見ないと決めれば通知を切るのを忘れていても、被害は軽微で済みます。
仮想デスクトップで作業に集中する方法については、他にも解説しているのでそちらも参考にしてみてください。
マルチディスプレイでもシングルタスク
作業効率の向上のために、マルチディスプレイを導入している方もいると思います。それでも、上記の仮想デスクトップを使用し、余計なウィンドウをサブディスプレイなどに表示しないようにしましょう。
もう1つ、ポモドーロの間に使うディスプレイがひとつでいい場合には、一時的に液晶を切断してしまうのも有効です。
仮に壁紙だけ表示されているとしても、視界の端に映像が見えているので、たとえばアイコンに気を取られて余計なことを考えてしまうこともあります(だからデスクトップにファイルを保存してはいけません!)。そうでなくても、目に受ける光の刺激が液晶の数だけ増えるので、眼精疲労は間違いなく増加します。
であれば、使わないときは切った方がいいですよね。
切り方は、Windows 10になってとても簡単になっています。
通知アイコンをクリックして、通知のサイドバーを表示します。下部の簡易設定ボタンの中から、「表示」をクリックします。
すると、マルチディスプレイの設定方法が選択できるので、「PC画面のみ」を選択します。デスクトップPCの人には混乱しがちな表記ですが、おそらくノートPCに外部ディスプレイを接続した状態を想定しているのでしょう。この項目をクリックすると、メインディスプレイのみに映像が出力されるモードになります。
終了する場合は、
拡張をクリックすれば、通常のマルチディスプレイで用いられる状態になります(複製モードはプレゼンテーションなどで使うものですね)。
忘れられがちな第三のルール
意外にポモドーロテクニックで忘れられがちなのが、「ポモドーロが中断されたら、それをこなしたら休憩する」ということです。つまり、作業をすることよりも、休憩して万全の状態で集中すべき仕事に戻ることを優先するということです。
これを忘れてしまうと、25分のサイクルを守っているはずなのに、パフォーマンスが落ちてきてしまう……ということが容易に起こってしまいます。
タイマーを毎回セットするのと同様、ちょっとした違いのようですが、忘れないようにしたいですね。
おわりに
効率的に仕事や勉強をこなしたい人の定番となりつつあるポモドーロテクニックですが、一方的に送られてくる「通知」という情報が過多な現代においては、意外にしっかり実行するのが難しかったりします。
すでに取り入れている方も、一回各種設定を見直して「しっかり集中できる」環境を整えましょう。
また、今回の各種設定はポモドーロテクニックに限らず、集中したいときに使えるTIPSでもあるので、どうもポモドーロテクニックは自分にあわないな……という方は、部分部分で採用してみてください。
これまでより、集中しやすい環境を構築できますよ。