前回の「それでもマルチタスクをしなきゃいけないなら仮想デスクトップを使え」では、仮想デスクトップがいかにマルチタスク(もどき)の実現に便利かという話をしました。
今回は、さらにマルチタスク(タスクを次々と切り替えなければいけない状況になんとか適応)のためのTIPSを紹介します。
タスク管理ツールは全てのデスクトップに表示せよ
世の中にはいろいろタスク管理ツールがあります。Wekan, Trello, TaskChute, Todoistなどなど。もちろん、GmailやOutlookにくっついているタスク管理ツールや、各種カレンダー類もあります。
前回は、気が散る要素である「他人からの連絡」と、それに伴って無秩序に開かれるアプリケーション、ウィンドウなどを1つのデスクトップに押し込むことで、タスクへの集中力をなんとか維持しようとしました。
ただ、予定の確認やタスクの確認はどうするか? という問題があります。後は、タイマーなどの補助ツールですね。
対策として考えられるのは、
- タスク専用デスクトップを表示する
- ブラウザなどで多重に開いておく
といった2点でしょう。
1.は、集中力を乱さないという原則の上では正しいと思います。タスク管理ツールの他に、カレンダーや共有の予定表・グループウェアなども起動しておけば、予定を決めるための専用デスクトップとして用いることができるでしょう。
ただ、チャットなどで連絡を受けているときにいちいちこの専用のデスクトップを開いて予定を登録する、というのは少し煩雑です。電話を片手に操作しなければならない場合などは、より面倒ですね。かといって、ここにコミュニケーションツールまで入れるとなると、今度は資料なども乱雑にひらいたデスクトップを、タスク管理やタイマー操作のたびに開くことになり、余計に集中できなくなります。
2.はそれよりは多少マシですが、多重起動の分、メモリなどのPCリソースを余計に消費してしまいます。それに、タイマーなどはそれぞれ別々に動作してしまうので、実質的に機能しません。
そこで、仮想デスクトップに標準で備わっている機能を使います。
すべてのデスクトップにウィンドウを表示する方法
- Win + Tabをおして、タスク管理画面を表示します。
- 他のデスクトップに表示したいウィンドウを右クリックして、「このウィンドウをすべてのデスクトップに表示する」をクリック。
- これで、このウィンドウ(例ではダウンロード)が他のデスクトップでも表示されるようになりました。
「このアプリのウィンドウをすべてのデスクトップに表示する」はあまり使わない
今時のタスク管理ツールなどは、通常ブラウザ上で動作します。そしてモダンブラウザは「タブ」を有していて、タブをウィンドウから分割することで別のウィンドウにすることができますね。
この方法を使うことで、たとえばChromeで開いているTaskChuteのタブを分割して単独のウィンドウにします。それから、上述の手順を行うことで全デスクトップで参照することができます。
ところがこの時、もうひとつの方法である「このアプリのウィンドウを全てのデスクトップに表示する」をしてしまうと、Chromeのウィンドウ全てが全デスクトップに表示されることになってしまい、わざわざデスクトップを分けた意味がなくなってきてしまいます。
したがって、この「アプリのウィンドウを全てのデスクトップに表示する」方法は、マルチタスクを実現しようと考えると、ほとんどの状況で有効ではないと言えます。
一方で、「資料をつぎつぎと切り替えて複雑なたったひとつ作業をこなす」場合には、有効である場合もあります。その場合は、メインで操作するアプリが複数ウィンドウ開いていて、資料を参照しながらそれらをどんどん操作していく……といった場合でしょうか(いい例が思いつきませんが、複数のExcelファイルに対して、各部署からの報告を仕分けしながら入力・解析していく場合には便利そうです。自動化が先だと思いますが……)。
「マルチタスク」の設定はいじらなくていい
Windows 10の「設定」アプリ、システム内の「マルチタスク」にはこの仮想デスクトップの挙動を変更する設定がありますが、よほどのことがない限りいじる必要はないでしょう。
なぜなら、余計なものを「見ないように」仮想デスクトップを分割したのに、他のデスクトップで開いているウィンドウをわざわざ見る必要がないからです。
この設定は、デスクトップを2つだけ開いて、「とりあえず今使うウィンドウだけを取り出そう」といった運用には使えると思います(ただし、Alt+Tabやタスクバーでの切り替えは余りしないで全ウィンドウが常時表示されているような状態)。
ただ、それでも「これから何しようかな」と悩んでウィンドウを選択すると、結局のところ集中が乱されがちなので、標準のまま運用することをお勧めします。