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生産性向上と会社の中心で叫ぶ前に知っておきたいこと【生産性バカに脅されるな】

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生産性という言葉、流行ってますが、そもそも生産性とはなんでしょうか?

生産性のある仕事、ない仕事、なんて声高に叫んじゃう人ほど、実のところ、何も生産はしていないということはよくある話です。

例えば、販売・営業スタッフは何かを生産しているか? と問われたらノーですよね。でも、確かに顧客に付加価値をつけて販売しています。

では、裏方であるスタッフ部門はどうでしょうか。経理や人事、総務は特別、付加価値をつけるということはありませんね。であれば彼らの仕事は生産性が低いでしょうか? とはいえ、アウトソースに出したら結構な費用がとられてしまいます。ほぼ同じ仕事のはずなのに、アウトソーシーは確実に付加価値を生産していますね。

一般に経営指標として用いられる、付加価値生産性や労働生産性などと言われるものは、

生産性 = 付加価値額 ÷ (労働者数 [×平均労働時間])

で示されます。付加価値生産性が労働者数で表現し、労働生産性が労働時間で表現するようなイメージでいいです。が、今のところ大事なことは会社全体の生産性を労働者ひとりひとりに按分して(平均的に)表現するということです。

生産性向上と会社の中心で叫ぶ前に知っておきたいこと

知っておきたいことは、経済や経営で言われる生産性というのは個人個人で表現するものではないということです。国の経済指標であるGDPも国全体の付加価値の総計となります(これを日本国内の労働人口で按分すれば、上記の式でいう「生産性」が導き出されます)。

ここまでで、会社の中で1個人が「あいつの生産性は低い!」だの「俺の生産性は高い!」だのを言うことがどれだけバカバカしいか理解できたと思います。

スタッフ(間接)部門も直接付加価値を計上してはいませんが、直接部門の業務を支援することで、あるいは経費を適切にコントロールすることで、付加価値額の減少を抑えているという意味で、全社的な生産性の向上に寄与していることになります。

いわゆる、無能な中間管理職の典型像にされがちな、「部下に仕事を任せてばかりの上司」というのも、その仕事の分配と指導が適切であれば、部門全体、ひいては会社全体の生産性の向上に寄与しています。

もしあなたが、「自分の方が有能なのにあいつが上司なんて気に食わない」と考えたことがあるのであれば、そもそも「自分は他人を含めて生産性を高められているかな?」と見直してみるといいでしょう(なお、そんな正当な評価がまったく関係なく上のお気に入りというだけで出世するパターンも多いです)。

そして、実のところ、先に示した生産性の式に「仕事の効率性」は含まれていないのです。

「生産的に仕事をしよう!」なんて言説に溢れていますが、内実が「効率的に仕事をしよう」というものも少なくないですが、これは一部は正しいかもしれませんが、「生産性を高めよう」という命題に対して十分な考察がなされているとは、言い難いと言えます。

そうは言っても生産的に仕事がしたい

自分がいま、プレイヤーでありマネジャーではない、同僚に何かいい働きかけをすることもできない……。

それでも自分の生産性の高い人間にしたい! というのはとても正しいことです。ただ、外部から(会社から)みた場合には、全体的な効果がなければ生産的ではないと言えます。どういうことかというと、「営業成績めっちゃいいけど、間接部門や製造部門に無茶ばかり言っている」ような人は、全社的な生産性で言えばマイナスに働くことすらある、ということです。

ここまでを踏まえて、個人の生産性と言えそうな式を立てて見ましょう

個人の生産性 = (付加価値額 – 費用差分※) ÷ 労働時間

本来付加価値額は費用を除いたものですが、ここでは間接部門や製造部門など、本人以外の部署が余計に負担したコストを示します。残業したとかそういうことです。

逆に付加価値額を生み出さなかったり、変化しなかったりする場合は、費用差分にマイナスの数値を入れるので差し引きしてプラス。つまり実質的に付加価値を生んだとするわけです。100円で売れるものを生産する製造部門の付加価値額は変わらなくても、原材料費が1人だけ低い場合などもここにマイナスの数値を入れるといいでしょう。

労働時間を分解してみる

さらに、ここで労働時間を式に分解してみましょう。

労働時間 = 仕事量 ÷ 効率性

と分解できます。効率性は1を基準(100%)として、優れていれば大きく、劣っていれば小さくします。2倍仕事が早ければ2, 1.2倍くらいなら1.2とします。

ここまで来て、効率性がやっと式に登場しました。さらに、仕事には絶対的な量の他に、厄介さ、難しさというものがあります。特に、クリエイティブな仕事だったり開発だったりと、不定型な業務だと難しさというものがでてきます。

労働時間 = 仕事量 × 難易度(複雑さ) ÷ 効率性

なぜ、難易度を仕事量そのものに含めないか、付加価値額などに含めないか、といえば、難しくてもまったく儲からない仕事というものもあるからです。しかし、難しい分、完了したときに達成感があります。

やっかいな【やりがい】のある仕事

当サイトをご覧になっている方は、多分、仕事にやる気がある方だと思います。やる気があるときに厄介なのが、「やりがい」という奴です。

「やりがいがある仕事はいい仕事」だ! みたいな言説がありますが、果たして本当にそうでしょうか?

「30分に1回、ボタンを1つ押すだけで100万円がもらえる仕事」と、「炎天下の中、小柄なおばあさんが運んでいた重い荷物を、30分かけて坂の上まで運んであげたら、100円のアイスがもらえた」。どちらがやりがいがありますか?

これは極端な例ですが、イレギュラーに発生する、面倒だけど付加価値の低い仕事を嬉々として引き受ける、「いい人」で「やる気がある人」はこの罠にはまりがちです。すなわち、やりがいがあったから(達成に通常よりも大きな困難が伴ったから)生産性の高い仕事とはいえない、ということはご理解いただけたかと思います。

個人の生産性の式を整理してみる

では、ここから個人の生産性の式を整理して、本当に個人で「生産性」を高めるにはどうしたらいいか? を考えてみたいと思います。

個人の生産性 = (付加価値額 – 費用差分) ÷ (仕事量 × 難易度 ÷ 効率性)

個人の生産性 = (付加価値額 – 費用差分) × 効率性 ÷ (仕事量 × 難易度)

効率性を仕事に要する時間から、付加価値にかける数値にできました。これを見ると、確かに効率性が高ければ生産性は上がりそうに見えます。

本当にそうでしょうか?

費用差分に注意

付加価値額から、費用差分を引いていますので、じつのところ、付加価値の低い仕事を、周りの人に多大な迷惑をかけながら(値引きしたり工場に残業させたり)、効率的に仕事をすると、働けば働くほど会社に損失を出してしまうことになります。

いわば、赤字商品の販売に近くなりますが、売上原価に計上される「労務費」「原材料費」と違って、営業や間接部門の人件費などは固定費扱いされることも多く、問題の究明が大変な場合があります。下手をすると、問題が発生していることすら、誰にも気付かれないかもしれませんね。

効率以外に、生産性を高める手段

当たり前ですが、第一に付加価値を高めることです。それは販売益、粗利をあげることだけではなくて、間接部門などに余計な負担をかけないということが含まれることが式から分かります。

また、仕事の総量が変わらなくても、「難易度を変える」ということがあげられます。これは主に、設備投資やソフトウェアへの投資が考えられます。先ほどの例で言えば、「おばあさんの荷物を運んであげるのに、車を使う。車がなければ台車を使う」ということですね。そもそもタクシーを呼んでアウトソーシングしてしまう、というのもリターンが大きければあり得ます。やりがいはなくなりますが

一口に生産性といっても様々な要素が関わっている

本記事では、声高に叫ばれる生産性を、「労働生産性」などの式をもとに、個人の生産性の式として表現、考察してみました。

それにより、声高に叫ばれる生産性を連呼しているだけでは、実際に目指すべき方向から離れてしまう恐れがあることが分かりました。

価値の高い人材、価値の高い労働が求められる時代ではありますが、それにはまず、誰かに言われたスローガンをよく理解しないまま連呼するのではなく、その言葉が何を意味し、実際に自分が何をすべきか考えられるようになる。

そういった、一見するとちょっとした回り道を通った方が、本当に価値の高い人材となれそうですね。

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