ChatGPTで論理思考をすると知的生産性が激増する理由

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ChatGPTは優れたツールです。しかし、それは間違いを含むこともある回答をくれるから、コーディングをしてくれるからといった理由ではありません。

ブレインストーミングや、人間に思いつかない鋭い洞察やアイディアがでてくることはありません。学習に使われたデータは古く、また正確な数値予測もできないため、株価や仮想通貨の値動きの予想を立てることも難しいでしょう。娯楽感覚の占いという扱いであれば面白いとは思います。

結果のニュース性、正確性でいえば、結果が出力された理由のWebページを参考に出力してくれる Microsoft Bing や Perplexity の方が有用に思えます。

しかし、実際にChatGPT をハードに使い続けた結果、筆者は「何故か ChatGPT を使うようになってから頭がクリアになって生産性が上がった」と感じます。もちろん、簡単なプログラムはChatGPTに書かせて編集するといった省力化を行ってはいます。しかし、そういった使いかたをしていない部分にも影響がでている。何より精神的な疲労が非常に減ったと感じます。

この記事ではその理由を考察しつつ、知的生産性を向上させ、疲労を軽減させた使い方をご紹介します。

この記事を書いている人
  • 中小企業診断士
  • 現在は社内コンサルタントとして、複数のITソリューションの導入、DX活動に従事
  • 元ITエンジニア兼デザイナー
  • RPA や Webサービス同士の連携などのコーディングを内製担当または内外製の判断を行っている

思考の地図としての MECE

もっとも大きなChatGPTの利点は、何か物事を尋ねたときには、できるだけMECEに一般論を出力する傾向にあるということです。これは、次世代の検索エンジンを狙う Bing や Perplexityとの大きな違いで、物事を深く考える手がかりになります。

MECEとは?

MECEとは「Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive」の略です。日本語では、「漏れなく、ダブりなく」(ダブり、が日本語かどうかはともかく)と言われ、抜け、重複がなく全体を余すところなく表現した状態を言います。発音はミーシーやミッシーと言ったりします。

別の言い方では「切り口」とされ、例えば人類を表現するとしたら

  • 「男性」「女性」「その他」
  • 0歳~10歳、11歳~20歳、21歳~30歳、31歳以上(その他)
  • 未成年、成人

といった様々な切り口でMECEな状態を表現できます。

また、このMECEな状態を細分化していく「ロジックツリー」という構造もあります。この場合、MECEの各要素を並べ、粒度の大きいものを上に、粒度が細かくなるにつれて下に記述するのが一般的です。

一番分かりやすい例が、組織図でしょう。

ビジネスで MECE が重視される理由は、説明されたときに「何か足りないな」「クドいな」「結局何が言いたいんだ?」といった疑問が生じにくいとされるからです。またもちろん、全て要素が検討されていれば、ビジネスの実行において自信を持てる、ある程度の結果を期待できるといった利点が挙げられます。

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何故、 Bing や Perplexity といった検索エンジンとしての動作をする AI が MECE な解になりづらいかというと、これは Google がリリースされてあっという間に検索市場を事実上牛耳ってしまったかを思い出すと分かります。

当時の検索エンジン(ロボット型と呼ばれていた)では、関連しそうな Web サイトをとにかく結果として出力していました。そのため、 meta keyword に無関係なキーワードを大量に入力するような SEO テクニックが流行していました。しかし、 Google はただ関連する語があるだけではなく、関連が深そうな内容と、Web上での構造を有しているページを優先的に表示することで高い検索精度を実現していました(今はもちろんもっと複雑です)。

つまり、検索において全ての結果を返すことは重要ではなく、最も意図に合いそうな結果を優先することが重要なので、BingやPerplexityはMECEな解になりづらいと言えます。

一方でChatGPTは、旧式のロボット型検索エンジンのように、関連する内容をかき集めて要約して箇条書きで出力する傾向にあります。結果として、MECEに近い出力が得られるというわけです。

一般論しか言っていないものの、勉強方法の網羅性は高い

ではなぜ、一般論の MECE が重要かというと、実のところ物事を MECE に考える・分割するというのは非常に難易度が高く、認知的負荷も大きい知的作業だからです。

統計で広く用いられるような年齢、金額、地域……といったデータであれば比較的 MECE に分割しやすいですが、上記の英語の学習方法・プロセスが真に MECE かどうかというのは判断が難しいところです。

そのため、実際には厳密に MECE でなくても重複はある程度許容する、漏れについては「その他」で全てすくい取るといったテクニックが用いられます。

また、(筆者のような中小企業診断士・コンサルタントが好んで使う)フレームワークが優れているとされるのは、綺麗に MECE っぽく分割されているから、という理由が挙げられます。

つまり、上記のような一般論の列挙であっても、「なんだ、一般論じゃないか」と流し読みするのか、各要素について更に深く検討するか、で出力された結果の価値は大きく変わります。

例えば、上記を元に、社員に受けさせる英語研修プログラムを考えるとなった場合、自分で一から英語研修プログラムを考えるよりも、遥かに考えやすいことが分かるかと思います。これが、筆者が考える ChatGPT を使うと知的生産性が向上する理由その1です。

切り口を変えられる

ChatGPTの「一般論の列挙」が意外に役に立つことが分かりました。そうすると、質問の仕方を変える、という点においても役に立つことが分かります。

先ほどの英語学習のプロセスですが、英語研修プログラムを企画すると考えた場合、プロセスだけでは不足があります。もちろん、仕事で行う以上、費用面も検討しなければいけません。

これも ChatGPT に訊ねてみると、様々な切り口での費用の分配方法が出力されます。上司にプレゼンする場合には、費用面について上図の各項目に沿って説明を行うことで説得力の高い内容になると思います。

もちろん、その費用配分は人間が行う必要があります。何故なら、 ChatGPT は古い学習モデルをもっており、もちろん、あなたに割り当てられている予算も、あなたの会社の財務状態も把握していないからです。

しかし、「なんとなくこうするといいと思います」というより遥かに論理的に見えることが想像できます。

ログが思考の履歴として残る

Bing や Perplexity で不満なのが、ログが消えてしまう点です。これに対し、ChatGPT はブラウザのタブを閉じても、新しい会話を開始しても、左側のメニューにチャットルームが残り、ログを参照することができます。

筆者のように色々平行して進めていたり、簡単なプログラムを複数書かせて自分で結合したりといった使い方をする場合だと、わざわざログを保存しなくていいというのは非常に助かります。例えば、この記事を書くときでもChatGPTであれば「英語学習プロセス」チャットを開いて、過去の会話を遡ってスクリーンショットを撮ることができました。

閃くための準備として残しておく

やらなければいけない仕事、作業をTodoリストに出力して仕事を整理している方は多いと思います。ただし、考えなければいけないこと、課題や問題を Todo リストに書き出すことはあまりないと思います。何故なら、頭の中を占有しつづけている課題を、Todoリストに移してもTodoリストの中を占有し続けてしまうからです。

そこで、明確な目的を持ったチャットを行った場合はもちろんですが、思考が整理しきれていない状態だったとしても、ChatGPT のログが「考えなければいけないことのリスト」として役に立ちます。あるいは、中途半端に関連している課題を見つけ出すヒントになります。

それには、とりあえず気になる点をざっくりきいて、一般論を MECE に出力させたり、あるいは 深津先生方式のプロンプト を用いてより具体的な作業を指示させて情報を蓄積します。この段階では、まだ何をすべきかという点が明確でない場合も多く、行動や解決につながらなくても問題ありません。

その後、会議や同僚との雑談、あるいは SNS を見たり、ニュースを見たりすることで、関連する情報が人間の方に蓄積されていきます。そうなった後、「そういえば、~について考えていたな」と ChatGPT のログを閲覧します。すると、 ChatGPT の回答だけではなく、自分が「追加で質問した」内容も閲覧することができます。

このようなログを活用することで、過去気になっていた点と、自身が新しく入手した情報を結合することができます。それにより、新しいアイディアや解決方法を思いつくことができるかもしれません。

そうでなくても、少なくとも課題の記憶を外部化し、なんなら「誰かに相談した気分」が得られるので頭の中をクリアにすることが可能です。

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終わりに

筆者の考える、 ChatGPT が何故、より高性能なはずの Bing の AI 版より知的労働者の役に立つかを考えました。まとめると、

  • 出力が網羅的で MECE である
  • MECE の切り口を変えられる
  • ログが残り、再利用可能
  • 人に相談した気持ちになって整理される

といった点が挙げられます。もちろん、結果の正確さが保証されない、検証ができないといった問題があります。しかし、それは AI に答えを求めてしまうからであると言えます。

実際のところ、もとより Web 検索の結果は正確性が保証されていません(論文などの引用として扱う場合は別として)。運良く、自分と同じ課題・問題を抱えていた人がいて、その解決方法を提示してくれる場合もあります。プログラミングや PC のトラブル、ソフトの使い方などがそれにあたるでしょう。

しかし、実際に人間がビジネスの現場で直面する課題はその人それぞれの環境によって異なり普遍的な正解というのはありません。

問題なのは、不正確な回答を「それっぽく」返す ChatGPT ではなく、求める正解が外部から与えられると短絡的に考える人間の方だと言えます。実のところこれは、 AI が話題になる前から、「Wikipediaのコピペ問題」や「検索結果を鵜呑みにした結果の健康被害」、「検索して答えが分からないと問題が解決できないビジネスパーソン」といった形で度々話題に上がってきた問題と本質は同じだと言えます。

最終的に考えて、結論を出す。結論だと判断するのは人間の仕事だということをわきまえて使えば、ChatGPT は知的労働者の生産性を飛躍的に向上させられるツールと言えます。

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