コンサル視点で解説する副業を始める人に欠けている1つの視点

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副業に興味があるけど、自分が始めて上手くいくかな? という相談を友人から聞くようになりました。言うまでもなく、2019年~2021年でもっとも大きく変化した環境は副業にまつわる環境でしょう。

そこでコンサルティングの国家資格であり、士業の一種でもある中小企業診断士 登録予定(2021年内予定)者として、一般に副業を始める場合に欠けがちな視点を解説します。

コンサル視点で解説する副業を始める人に欠けている1つの視点

この記事を読むと分かること

  • 副業や起業をはじめるときに大事な視点
  • コンサルが事業計画を書くとき・評価するときに見るところ
  • 個人や小さい企業が大事にしたい戦略
  • 副業を継続すべきか撤退すべきかの客観的な考え方

 

こんな人におすすめ

  • 副業を選ぶ指針にいろいろな視点がほしい人
  • 誰でも副業が上手くいくなんて嘘だよね、と思っている人
  • 副業を継続するための動機がほしい人

 

副業をしたければ【外部環境】も分析しろ!

副業は個人事業を起こすのとほぼ同じ

もちろん、アルバイト・パートタイムとして働く場合もあります。しかし、その場合でも本業がある以上は個人事業を起こすようなつもりでいるといいでしょう(アルバイトやパートタイムのかけもちは、兼業としてこの記事の対象外とします)。

そして、100万人増!「副業」の急増で考えておくべきことというYahoo! news(東洋経済新聞)の記事にある通り、またこの記事の冒頭にも書いた通り、今は副業を始める方が非常に多くなっています。理由は、

  • 老後の生活費・年金の問題
  • 働き方改革による副業解禁の流れ
  • コロナ禍による勤務体系の変化
  • ICTツールの発展

など、近年の社会情勢の大きな流れが、「副業」や「複業」の方向に社会人を促していると言えるでしょう。その結果、

  • 副業人口が100万人増加
  • YouTube をはじめ、SNS、オンラインサロンでの副業の話題の盛り上がり

と、どんどんと身近な社会現象として肌で感じられるようになっています。「では、自分も……」となりがちなのは、日本人に限らず当然のことでしょう。とくに、老後の生活費・年金問題は人生100年時代において、誰にとっても無関係ではいられません。親の介護費用が不安という方も多いでしょう。

筆者としても「危険だ」などと異を唱えるつもりはありません。適正なリスク内であれば挑戦していくべきでしょう。それにより、日本のGDPが向上すれば、副業だけで充分な収入が確保できなかったとしても、本業からの収入が向上する可能性があります。これは、「副業でスキルが向上して!」というような話ではなく、日本経済全体のトレンドとして、ということです。

 

しかし、副業を行う際に問題なのは、何をするかは自分で決めなければならないということです。

自分が副業に挑戦してうまくいくか? という不安は、換言すればうまく行きそうな事業領域の目星がつかないということに他なりません。

これは会社員として雇われて、先輩に指導されて仕事を覚えるという、一般的な日本人のキャリアパスを歩んできた人(つまり大体の社会人)にとっては未知の領域だからです。これは、どれほど小さく、ネットで紹介される成功事例が多数あったとしても、起業するのと同じだからです。

実際、ほとんどの副業は青色申告の対象となる個人事業ですからね。この重要性は、先ほどの記事内に出てきた、失敗事例からも分かります。

 

 聞くと、「会議に参加したときにアウェーな感じがあった」とのこと。会議に参加している正社員が、自分と同じ船に乗って仕事をしているように思えなかったというのです。

YahooNews より引用

 

これはかなり極端ですが、「一時的に雇われている」ようなつもりになってしまったのでしょう。副業は個人事業ですので、その会社は「アウェー」であり「自分と違う船」であって当然です。

その上で、一緒に仕事をする相手であっても、相手が報酬を支払っている以上は「顧客」であり、自分にとっては外部の人間であると考える必要があります。

 

つまり、外部環境として考える、外部環境を分析しろ! ということです。

 

内部環境分析と外部環境分析

ここで環境の分析について説明します。

経営コンサルティングの世界では、古いものから新しいものまで様々な分析の指標やフレームワークがあります。それぞれによしあしがありますので、これひとつで完璧というものは、残念ながらありません。

ただ、重要なのはMECE(もれなくダブりなく、とよく言われます)に分析できること。各要素を明確に分類できることです。フレームワークがないとごっちゃになりがちですからね。

 

その中でも、中小企業診断士がよく使うのが SWOT 分析とクロス SWOT 分析というものです。大きな企業を担当される、外資系コンサルの方は違うかもしれませんが、すくなくとも個人事業~中小企業を主に担当する診断士には重宝されています。

この SWOT 分析というのは、事業者にとってポジティブなこととネガティブなこと、そして内部環境(自分たちでどうにかできそうなこと)か外部環境(自分たちではどうにもならないこと)の2次元、4象限に分類する戦略立案のためのフレームワークです。この4象限をすなわち、

  • 強みStrength – 内部環境にあって、ポジティブなプラス要素
  • 弱みWeakness – 内部環境にあって、ネガティブなマイナス要素
  • 機会Opportunity – 外部環境にあって、ポジティブなプラス要素
  • 脅威Threat – 外部環境にあって、ネガティブなマイナス要素

に分類するものです。

あまりのもベーシックなので、マーケティング担当の方などは聞いたり使ったりしたことがある方も多いでしょう。

そして、クロス SWOT 分析は、それぞれの4象限を組み合わせることで「その要素に対し、どういった戦略を採るのか」決定を補助するツール・フレームワークです。SWOT 分析があくまでも現状の把握なのに対し、クロスSWOT 分析はSWOT分析をもとに、採るべき行動の決定を補助するツールと言えます。

 

副業を始めるにあたって分析の例

いかにも教科書的で眠くなってきましたので、かんたんにSWOT 分析の例を挙げてみましょうか。

たとえば、当ブログを読んでくださっている方であれば、 RPA を自作する基本を学習できているでしょう(もちろん、副業のために学習していただいても大丈夫です)。RPAの自作スキルを売ってもいいですし、補助的に事務作業を楽にするために使ってもいいでしょう。強みです。副業を勧めるタイプのメディアでは、これまでやってきたこと。たとえば「業務用冷蔵庫の営業」も強みだし、「漫画好き」も強みだ! と紹介されているので、一番イメージしやすい部分でしょう。

弱みは、この記事を読んでいる方であれば、大体該当する、「副業・起業をしたことがない」というのを挙げてみましょう。ただ、これは一度経験してしまえば大したことはありません。そうですね、「本業の人と比べて時間が少ない」というのはどうでしょうか。克服できないこともありませんが、リソースの面で負けています。また、投入可能な資金が少ないです。広告費や設備投資の資金は、やはり本業と比較すると弱いですね。

機会を考えてみましょう。