中小企業診断士の資格の存在は知っていても、登録にいたるまでの流れを把握されている方は、少ないのではないでしょうか? または、文字で軽く、「1次があって、2次があって……、面接があって、それから実務補習? とかいうのがあるのか」と知っていても、ピンと来ていない方もいるのではないでしょうか?
ということで、診断士の実務補習をうけはじめて(筆者は2021年の7, 8, 9月の3回を受講)感じたこと、購入したものなんかをご紹介したいと思います。
2021/08/19 Arc Mouseについて追記
- 中小企業診断士試験を受けようか迷っていて、試験後どうなるかを知りたい人
- 副業・複業などで知らない人とチームで仕事をすることになりそうな人
- 独立を考えているけど、独立後も人とチームを組んで仕事をしそうな人
- Macbookオシャレだし家ではWindowsだけどMacBook買おうかなと思っている人
- 実務補習を受けるために、または中小企業診断士試験の勉強のためにこれからノートPC を買おうと考えている人
- 中小企業診断士試験合格者、登録予定者(2021年7~9月に実務補習後、登録予定)
- 記事を書いているとき、まさに2回目の実務補習の準備中
- 家、メインの業務ではWindowsを使用(RPA, キーマクロなどでゴリゴリにカスタマイズ)
- 外出先ではMacを使用
- スマホはAndroid
- タブレットはKindleとiPad
- iPad mini新型ほしい
診断士実務補習中に、Windows 10を購入した訳
実務補習ってどんなことするの?
中小企業診断士協会の開催する実務補習は、1回約55,000円(!)ほどするのですが、その内容は驚くべきことに、「実際に仕事をします」。お金を払って、お仕事をします。
もちろん、指導員の先輩診断士の先生がつきますが、「この会社のケースであれば、~分析をしたら、こういう結果が出て……」なんてことはないです。診断先の会社(もちろん、実際にある会社!)を見つけ、契約し、私たち実習生に紹介してくれます。
そして、ヒアリングを含めたスケジュールを指示し、テキストの解説、提出するための資料の様式・注意事項などを説明してくれます。
中小企業診断士協会では、一応基本の「型」、各種分析や理論を組み合わせたフレームワークのようなものがあるので、それに則って診断を行うような指導があります。
しかし、あくまでも「これに沿うように」という指示であって、内容があっている、あっていないといったお話はあまりありません。こちらから質問したり相談したりすると答えていただけるので、自主性を重んじた内容といえます。
また、5名程度で1班を作るのですが、分野ごとに役割分担をします(営業とか、財務とか、人事とか)。そのために、実務補習で全分野を経験することは基本的にはありません。
そして、中小企業診断士の登録予定者同士で1チームを形成することになります。1企業に対していろいろな人がそれぞれ診断を行って、「きみのこれはよかった、こっちはあの人の方がよかった」といったようなコンペ方式ではなく、班で1つの報告書を、協会と診断先(協力先)の企業に提出します。
筆者は割とのんびりしているので、合格したら実務補習の案内とかくるんだろうなーとか思ってました。が、あまりそんなこともなく、自分で応募します。「登録するには!」みたいなご案内もありません。自分で資料(サイト)を見て対応する必要があります。
で、実は実務補習ではなく実務従事という、実際にコンサルティング(診断)業務をしたら書類を提出したらその分、ちゃんと実績としてカウントしてくれる制度があります。
勤め先が税理士事務所や会計士事務所、あるいは銀行だったりすると実務補習なしでも、日々の業務だけで充分に登録できる場合が多いようです。
また、民間でも実務補習のようなスタイルで診断業務を斡旋し、実務従事のポイントを得られるところが結構あるようです。
診断士協会のやり方だと、肌にあわないな……というタイプはこちらの民間企業を選んだ方が、思いっきり実力を発揮できるかもしれません。
実務補習はノートPCが(ほぼ)必須
中小企業診断士協会の実務補習はノートPCがほぼ必須となります。ほぼというのは、キーボードをくっつけたiPadなどのタブレット端末でも、実際のところ診断業務はできるだろうからです。
ただ、いくらキーボードがあってクラウド上のOffice系アプリケーションが優秀であっても、PCほどの自由度は残念ながらありません。
そして、中小企業診断士協会からのPCの貸与などもないので、自分で用意する必要があります。レンタルPCや会社用PCは、おそらく使用はNGだと思われます。とくにチェックはされませんが、診断先企業の経営情報を取り扱うため、データの流出の恐れがあるためです。
なので、中小企業診断士を目指す場合は、ノートPCを自分で購入するのは、ほぼ必須だと考えて準備するといいと思います。
チームのIT リテラシーは千差万別
タブレット端末でできない理由にもかかってくるのですが、診断士試験合格者でも、また指導員の先生でもIT リテラシーは千差万別です。クラウドストレージはなんとか使えても、Slack などはちょっと……なんて人もいます。
そうすると、「自分はよくても他の人が困る」といったことが起こり得ます。
筆者が実際遭遇したのが「操作方法がよく分からないから、画面をみせてほしい」と、「Mac のWordだと、まとめるときに苦労するかも」でした。操作方法については、コロナ禍なのでお互いのPCを操作しあうのが難しかったからというのもありますが、OS間の違いに不安を感じる人がいることは紛れもない事実です(実際にはなんとでもなるんですが……)。
チームで作業する以上、標準には従っておく
というわけで、1回目の実務補習ではmacOS で通したものの、チームで、しかも「仕事」のクオリティを求められる以上は不安要素は排除しておく必要がありました。
そこで、もう購入してから大分経つMacBook Pro に Windows 10をインストールすべく、ライセンスを1台購入しました。
診断士志望や複業でチームの仕事をするなら、大人しくWindowsPCを
MacBook自体はとてもいいプロダクトだと思います。Chrome Bookも、本来セキュリティを考えるのであれば、簡単に盗まれたり紛失したりするデバイスの中に直接データを格納するより、クラウドに格納した方がずっと安全です。
ですが、クリエイティブ系やIT系でもWeb寄りでない限りWindows PCを利用するのが現時点では無難です。結構、「これからは Mac の時代! 進んだ人から Mac を使う!」みたいな言説を見ますが、現実には優秀な人でも Windows PC以外は使えないし、クラウド系に馴染みが薄い……ということが往々にしてあります。
個人で完結して、(そしてもちろん顧客に迷惑をかけないスキルがない限り)Windows PCを選ぶといいと思います。
そもそも、最近ではWindows のノートPCも、キーボードや液晶、外観・質感といった数値的なスペックに現れづらい部分に力をいれた製品が増えて来ました。2010年頃は、まだまだMacBookが圧倒的に強かったですが、最近はそこまで差が開いていないように思います(M1はともかくとして)。
そんな中で、筆者が今Windows PC買うなら……、と考えると、
Surface Proでしょうか。Pro Xの方は、OSがタブレット端末用となってしまうのでお勧めできません。
Surface Laptopもいいのですが、やはりタブレットとしても使えると色々な局面に対応しやすいのでProをお勧めします。
ただ、欠点としてはメモリを16GBにしようと思うと非常に高いのですよね……。正直、今のWindowsを快適に使おうと思うと、メモリは16GBは必須だと思います。
ちないみに、筆者がWindows10のライセンスだけ買って、Surface Proを買わなかったのは今現在では、それほど使用頻度が高くないからです。たぶん、次のノートPCが必要だな……となったら購入すると思います。
実習中に買ったものシリーズ
Windows10 DSP版
DSP版とは、Windows をプレインストールして販売する業者向けに用意された簡易パッケージのWindowsです。セット販売のため、少しだけ安くなっています。
ハードウェアとセットで販売することが条件であるため、通常LANカードの様な安価なハードウェアと一緒に販売されています。
DSP 版は通常版と比較して安価であり、包装も簡易であるためにライセンスキーが使用済みの悪質な商品が多数出回っています。
Amazon などで購入する場合、出品者が信頼出来るショップかどうか、必ず確認するようにしましょう。以前は不自然に安いものを避ければ問題なかったですが、最近では価格では判断ができなくなっています。
Amazonで購入の場合、一番安心なのはAmazonが直接販売しているものを選ぶことです。
Office 365
こちらはWindows 10 DSP版を購入する前に購入しました。理由は、macOSからであってもWeb版が問題なく動作するからです。
LibreOfficeでも正直問題はなかったと思いますが、チームでの活動のためにやむなく購入しました。
arc mouse
折り曲げることでスイッチが入る、省スペースで軽量なマウスです。持ち運ぶときは真っ直ぐになり、かつ非常に薄型のためノートパソコンケースの中や小さなポケットにも収まりとても便利です。
ただ、ハードウェア的にはボタンが左右・ホイールで分離されていないため慣れるまでは違和感がある方もいるかもしれません。一方で、2本指でスクロールできたり、ノートPCのタッチパッド的な操作ができるので、ノートPCと一緒に使うには最適と言えます。
対応OSにmacOSの記載はありませんが、Bluetooth でペアリングして使用することは可能ですが、以下に記載するように「左利き+Mac」での使用はおすすめしません。
標準では、arc mouseの左側に指がかかった状態でクリックをすると、「左側のボタン」が押されたと判定されるようです。そのため、右利きユーザーの場合は右クリックをしたいときに人差し指や中指を上げて、薬指で右クリック操作をすることになります(中指でする方もいるかもしれません)。
問題は左利きユーザーで、左でマウスを使う場合、マウスの右側が左クリックの扱いとなります。マウスのボタン設定を反転するだけではこの「指の位置」の優先度が変わらないため、左クリックをするために薬指を持ち上げる必要があります(とてもしんどいです)。
通常のWindowsの場合は専用のコントロールソフトがあるので、それをインストールすれば問題ありません。
ただ、Bootcamp に Windowsを入れた場合、MacBookのトラックパッドもマウスの左右が入れ替わってしまいます(Bootcamp でトラックパッドがマウスとしてインストールされるため、通常のノートPCとは挙動が変わる)。
標準の方法では対応が難しそうですが、無理矢理対応させられそうでもあるので、また別記事とします。
おわりに
複業・副業が流行っています。完全に個人で請け負って成果物のみを提出すればいいのであれば、自分の好きな道具を使って、品質とスピード、そしてセキュリティなどの安全性を高めていけるので会社内で仕事をするよりも快適に過ごせる、という方も多いと思います。
一方で、会社の中であれば複数人の仕事であっても、会社側から道具が支給されるので互換性で問題がでることは通常ありません。ITリテラシーの差があっても、サポート部門が対応できるでしょう。
ただ、複業の人たちでチームを組む……となると、やはりある程度の統一感があった方が仕事がしやすいように思います。
今回は、クリエイティブ職に人気のあるmacOSからWindowsOSに変更しましたが、逆もありえるでしょう。筆者がクリエイティブ系の業務を請け負うときには、今度はWindowsだとちょっと困るな……ということもあり得ます。
複業や独立を考えていても、将来的にチームでの仕事があるかもな……というときには、その業界の標準にあわせた道具をそろえたほうが、少し窮屈なようですが結果的にいい仕事ができる可能性が高いでしょう。