ChatGPT の新機能 Custom Instruction
Custom Instuction とは?
ChatGPT に July-20 update で追加された、Code Interpreter に継ぐ新機能です。こちらは、アプリやCode Interpreter とは違い、 ChatGPT の「できること」は拡張しません。どちらかというと、ChatGPT という Web UI (またはアプリ)を通してユーザーである人間ができることを増やします。
Custom Instruction は、ChatGPTに対して、「応答に際して考慮してほしい事項」を提供することにより、よりよい回答を生成する手段を提供する、となっています。
Custom Instruction には現在のところ、
- より良い回答をしてもらうために ChatGPT に知っておいてもらいたいこと
- ChatGPTにどのように対応してほしいか
という2つの入力欄があります。それぞれ、「知識や前提条件、ユーザーの人間としての属性」と「ChatGPTで行うべき対応、口調」などを指示するように設定されており、1500字まで入力可能です。
とはいえ、ChatGPTが振る舞い自体に知識が含まれることもあるでしょうし、そこまで厳密に考えずに、パーソナルインストラクターやコーチ、あるいは美容師や医師へ提出する事前アンケートのようなものとして捉えるといいと思われます。
また、これらの指示は、プラグインを利用した挙動にも影響を与える(はず)ということです。
Custom Instruction が使える人
現在のところ、ChatGPT Plus のユーザー全てで、無料ユーザーには公開されていません。
また、EU, イギリスでもサービスは提供されていないそうです(背景的に色々あるんでしょうね……)。
Custom Instruction の使い方・有効化
Custom Instruction は現在のところ beta 版のため、ユーザーが自分で有効化しないと使用できません。有効化するには、ドットメニューから、
Settings & Beta を選択、
左メニューから Beta features を選択し、右パネルから Custom instructions をオンにし、×ボタンでモーダルを閉じます。
Custom instructions に設定を追加するには、もう一度メニューを開き、
My plan の下に追加される Custom instructions を選択します。
テキストボックスを2つ持つモーダルが開くので、それぞれに指示を入力し、「Enabled for new chats」をオンにし、Saveボタンで閉じます。
テキストボックはそれぞれ、
- ChatGPTに知っておいてほしい前提
- ChatGPTに要求する振る舞い
に対応しますが、先述した通り、そこまで厳密に考えることはなく、アンケートや問診票に記述する自由欄のような気持ちで、ある程度自由に書いていいと思います。
Custom Instructions の振る舞いを見てみる
Custom Instructions は、プロンプトエンジニアリングのテクニックの一つである、 ChatGPT の役割を定義する方法に専用の UI を与えたもののように見えます(「あなたは有能な経営コンサルタントです」で書き始めた方がビジネスに対するアドバイスが的確になるなどのテクニック)。
API を利用してプログラムを行う人からすれば、 「System Role のメッセージをある程度カスタマイズできるようになったのでは?」と思うかもしれません(Prompt Injectionに強い System Role の扱いが実現できた?)。
恐らく、チャットのログ( Memory )よりも揮発・風化しない形でチャットの最初から最後までなんらかの形で参照される形式をとっていると思いますが、詳しいところは分かりません。まずは、テーマを決めて Custom instructions がどのように振る舞うか見て見ます。
共通する設定
ユーザーが所属する会社は、 Python などを利用したプログラミング・ソフトウェアの開発を教えるスクールであるとします。オフラインでの授業(スクーリング)の他に、オンラインでのリアルタイムライブによる講義、動画配信、教材の販売を行っており、顧客は日本中にいます。
プログラミング教育事業の需要は拡大傾向にありますが、絶対数はそれほど多くないため、顧客一人当たりの LTV が売上に大きく左右する業界で、 CRM (カスタマーリレーションシップマネージメント)が重要であり、 CRM ソリューションも導入しています。しかし、教材の販売部門や企業研修サービスの販売部門などの営業部門において、 CRM ソリューションへの情報入力に不備が多いと教育部門や製品開発部門から不満が出ています。
また、事務処理を担当する部門からも、営業部門で行うべきデータ入力を押しつけられるといった苦情が上がっています。これには、営業部門の年齢層が比較的高い一方、事務処理部門には非正規雇用が多く、部署間のパワーバランスも問題になっていると考えられます。
営業部門のペルソナ
- ペルソナ名:佐藤 智也(Sato Tomoya)
- 年齢:52歳
- 性別:男性
- 出身:日本
- 役職:営業部門長
- 業界経験:30年
- 教育:関東地方の大学で商学を専攻。初めてコンピュータを触ったのは大学時代で、それ以来、技術進歩には苦手意識を持っている。
- 職歴:
メーカー企業での営業職を長年経験。トップセールスとして活躍し、ハードウェアの販売に精通。
メーカー企業を退職後、現在のプログラミングスクールに入社。営業部門長として企業研修サービスの販売部門や教材の販売部門を統括。
性格:人付き合いが得意で、コミュニケーション能力が高い。旧来のビジネススタイルに固執し、新しい技術や手法には抵抗感を感じる。営業成績に一途で、CRMソフトの使い方についてはあまり理解していない。
課題:CRMソリューションへの情報入力に不備が多く、他部署からの不満が集まる。しかし、その重要性を理解しておらず、自身の業務優先でデータ入力を事務部門に任せがち。
家族構成:妻と大学生の子ども2人。家族は彼の仕事に理解を示し、支えている。
趣味:ゴルフや旅行。営業のつながりで得た多くの人脈と週末に交流を持つ。
技術スキル:基本的なPC操作は可能だが、特に新しい技術には慣れていない。CRMソフトウェアの使い方も一部しか理解していない。
目標:営業部門の売上を更に伸ばし、企業全体の業績を上げる。
素のChatGPT(GPT-4)に課題の分析と解決を依頼する
以下の課題を分析し、解決策を提示してください。
所